クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「お待たせ」
着替えてきた美樹は、バイト前の顔とは別人のように明るくなってた。
きっとバイトの時間の中で真人君との距離が縮んだんだね。
私は嬉しくて美樹に微笑みかけた。
美樹に私の想いも聞いてほしい。
きっと美樹は私の恋を応援してくれる。
真人君が戻り、4人で店長さんに挨拶した後店の裏口から出ようとした時、
太郎さんが正面から歩いてきた。
あの似合わない赤いエプロンを着けて。
太郎さんのエプロン姿は想像以上に似合ってなかった。
背が高いせいで、エプロンが子供用のものに見える。
「お先に失礼します」
私は3人の言葉に交えて笑いを堪えながら言った。
その言葉に、太郎さんは無表情のまま
「お疲れ」と言うだけだった。
何から何まで無愛想な人……。
そう思いながら、横を通り過ぎて行った太郎さんの背中に視線を向けた。