クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「優ちゃん、風邪良くなった?」
「うん。翼君のいうとおり早く寝たら、朝起きてびっくり。
どっかに飛んでいっちゃったみたい」
「よかった。けど無理しないでね?」
「うん。ありがとう」
翼君て本当に優しい。
こんなふうに心配してくれるなら、いくらだって風邪ひいちゃう。
オモチャ屋さんに入ろうとした時、翼君の携帯が鳴った。
名前は知らないけど聞いたことのあるメロディ音に私が振り向くと
翼君は一瞬顔を強張らせてポケットの中に手を入れた。
「ごめん、先に入ってて」
笑顔で言った翼君に小さく頷き、私達は裏口からお店の中に入った。
何も気にせず歩き進めていると、店のレジに立ってる太郎さんが目に止まった。
あ、太郎さんだ……。
一瞬太郎さんを目に止めた私は、すぐに視線を逸らした。