クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
イヴの夜
頑張ろう!
そう思えたのは、翼君が隣にいるから。
それに、お店の中に入っていく子供たちの笑顔や、
嬉しそうにその子供たちを見ているお母さんやお客さんの眼差しがあるから。
子供たちを見ていると、クリスマスが大好きだった子供のころを思い出した。
サンタクロースを信じてワクワクしていた時間。
プレゼントに期待を膨らませて眠った夜。
トナカイが空を飛んでくると思って見上げた夜空。
親たちがサンタクロースを演出してたって知った瞬間は覚えてない。
だけど、自然と知ってしまったんだ。
サンタクロースや赤鼻のトナカイなんていないことを……。
子供心に、騙されてたんだって思ったこともあった。
だけど、今ならわかる気がする。
こんなに目を輝かせてサンタクロースを信じてる子供に、
『サンタなんかいないんだよ』
なんて言えない。
いつまでも信じさせてあげたいって思える。