クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
クリスマスイヴなのに、太郎さんはモップかけか……。
大変ね。
まあ、私も同じような立場だけど、
だけど私には翼君がいるもんね。
翼君がいるからハッピーな気分でバイトが出来るし、ハッピーなイヴになる。
太郎さんは?
太郎さんはいやいやでバイト引き受けたんだよね?
太郎さんは私と違って大変ね~。
太郎さんのことを偉そうに同情の眼差しで見ていた私。
そんな私に罰を与えるかのように、戻ってきた翼君が口を開いた。
「優ちゃん、ごめん。
急な用事が出来てこれからすぐに帰らないといけないんだ。
一緒に帰りたかったんだけど、ごめんね」
頬をひきつった顔の翼君を見て、私はすぐに笑って答えた。
「いいよ、いいよ! 気にしないで!!
私も寄りたいところがあったから丁度良かった~」
「本当?」
「うん。だから気にしないでね。
急いでるんでしょ? 早く行って!」
「ありがとう。じゃ、また明日ね」
「じゃあね」