クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
咄嗟に嘘ついちゃった……。
だって、翼君を困らせる原因になりたくなかったんだもん。
翼君がいなくなったと同時に、大きな溜め息がでた。
あ~あ、残念だな。
残念を通り越してショックな気分。
本当は翼君とゆっくり過ごしたかった。
なんとなくすぐに帰りたくなかった私は、近くに会ったパイプ椅子にお尻を落とした。
あ~あ、溜め息しか出てこないや……。
脱力感でいっぱいになってる私は、太郎さんがお店の中のモップかけを終えたことにも気づかず溜め息ばかりをついてた。
「なにしてんの?」
急に聞こえてきた低い声に視線を向けると、モップを片手に持った太郎さんが立っていた。