クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~



ガチャンッ――!!


パイプ椅子が手の中から滑り落ち、床で大きく音を立てた。



私は手に力が入らなかったことと、大きな音に驚き肩をすくめた。



「ごめんなさい」


慌てて椅子を直そうとする私と同時に、太郎さんが軽々と椅子を持ち上げた。


椅子を直してくれた太郎さんの顔を見上げると、太郎さんの黒い瞳は私を見ていた。




な……なに?


視線を逸らさない太郎さんから、私は目を逸らすことが出来ない。



どうすればいいのかわからず首を傾げた瞬間、太郎さんが私の手を握った。



えっ!? 太郎さん――!?



急にドキドキと騒がしくなった胸の音が、耳に聞こえてくるようだった。




太郎さんの大きな手が、私の顔に……。






< 43 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop