クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「おまえ、熱ある」
「は……はい?」
太郎さんの言葉に、私は拍子抜けした声が出た。
私の額に手をあてた太郎さんは、なぜか呆れた顔で溜め息をついた。
「ちょっと待ってて、車で送るから」
ええっ――!?
太郎さんの言葉に驚き、首を大きく横に振った。
「いいです! 結構です!
大丈夫ですから!!」
太郎さんに送ってもらうなんて
太郎さんと車内で二人きりになるなんて
てんぱっている私の前で、太郎さんが口を開いた。
「大丈夫じゃないだろ。
お客さんや他の従業員にうつされたら困る」
「は……はい……」
太郎さんの一言で、私は何も言えなくなった。