クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「どうしてそんなこと言うんですか?」
「俺が答えないとわからないの?」
「わかりません。全っ然わかりません!!」
「だったらそのままでいいんじゃない?
本当に好きならそのうちわかるさ」
むっか~!!
最低!! 太郎さんてやっぱりいやな人!!
眉間にしわを寄せている私の隣で太郎さんが口を開いた。
「あっ悪い、あの信号の矢印どっち向いてる?」
だけど私の頭の中は怒りでいっぱい。
太郎さんの質問を無視して怒りをぶち播いた。
「そんなんだから彼女がいないんですよ!
いつも無表情で無愛想で、大っ嫌い!!」
「嫌いで結構です。
高校生みたいなガキを相手にする気はありませんから」
「あっそうですか!!
車止めて! ここで降ります!!」
私の怒鳴り声で車を止めた太郎さん。
嫌味一杯に「ありがとうございました!!」と言って力強くドアを閉めた。
歩き始めてすぐに太郎さんの車が横を通り過ぎ、目の前からどんどん小さくなっていく。
私は白い息を吐き、雪が止んだ空を見上げた。
もう、最悪……。
今日は最悪なイヴだよ……。