クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
かわいいぬいぐるみや着せ替え人形、
オモチャのキッチンやピンク色の化粧箱。
いろんなオモチャが目の中に飛び込んできて、心を弾ませた。
『あった~!』
欲しかったオモチャを見つけて駆け寄った時、そのオモチャは男の子の手の中にあった。
テニスボールの大きさのガラス玉の中に王子様とお姫様がいて、
オルゴールを鳴らすと白い雪がガラスのなかでふあふあと綺麗に舞うオモチャ。
私は男の子の手の中にあるオモチャをずっと眺めていた。
『優ちゃん、このオモチャはもう無いから他のものをサンタさんに頼もう?』
幼い私は、お母さんの言葉で目に涙を浮かばせた。
だって、サンタクロースは良い子にしてたら願いを叶えてくれるんでしょ?
私が欲しいオモチャはここにあるのに……。
まだサンタクロースを信じていた私は、お母さんの言葉どおりに他のオモチャを探すなんてことは出来なかった。
だから首を何度も横に振り、お母さんの手を必死に振りほどこうとした。
すると、そんな私の目の前に男の子が寄ってきた。