クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
翼君の声が、ドアの向こうから背中を伝って聞こえてくる。
『ごめん、今バイト中……』
『会えないよ、……もう会えない』
『……ごめん』
『泣くなよ、俺だって……俺だって……』
翼君の切ない声が、私の胸を締め付けた。
翼君の想いの全てが手に取るようにわかってしまったから。
どんなに彼女のことが好きか。
今すぐ彼女に会いたいと願っていること。
彼女のところに戻れない理由が何なのかも……。
私は居ても立ってもいられず、外に飛び出した。