クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
黒鼻のトナカイ
着ぐるみの中では泣いてるのに、
子供達の笑顔に手を振って飴を渡した。
もう、早く帰りたい。
帰って泣きたいよ……。
泣き声が漏れないように唇を噛みしめている私の前に、スーツを着た男の人が息を切らせ走ってきた。
目の前に来た男性は、トナカイの私に凄い勢いで話しかける。
「ここ、何時まで!?」
え? 私に聞くの??
驚いた私は、両手を使って『8時』と伝えた。
私の指を見て、ほっと息を吐き
「よかった~。ありがとう」と言い店の中に入って行った男性。
私は男性の姿を目で追った。