あの子、溺愛されてるらしい。
それからまた1週間が経った。


相変わらず学校中が私と中條さんのことばかり話していて、肩身が狭い。でも誤解を解こうとは思わなくなった。何を言っても信じてもらえなくて諦めることにしたのだ。


私が何も言わないからみんな噂が本当だと思ったみたいだった。でもそれも訂正しようとは思わなかった。


そんな毎日を送っていたある日の昼休み。



「梨央ごめんね。今日お弁当じゃないから売店行かなきゃなんだ。一緒に行ってくれる？」

「うん。行こう！」



2人で売店に行くと外にはみ出るくらい長い列ができていて、その最後尾に私たちは並んだ。



「ちょっと時間かかりそうだね。」



そう言いながら乃々佳が周りを見渡した。



「あ、今来たの中條先輩たちじゃない？」



後ろを振り返ると売店の入口から中條さんと佐野先輩が入って来ていた。



「本当だ。」



2人が買う物を持って私たちの後ろに並ぼうとしたその時、前に並んでいた人達がすっと端に避けて道ができた。



「え…？」



乃々佳と2人で呆気に取られてその場に立っていると1つ前に並んでいた男子が私の腕を掴んだ。


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