あの子、溺愛されてるらしい。
「でも今日は梨央ちゃんが居てくれたからみんな聞いてくれたね！ねえ栄斗！」

「おい慎太郎…。」

「彼女が並んでるから栄斗も並んだってみんなは思ってるかもね。」



楽しそうに言う佐野先輩を中條さんが呆れたような顔で見ている。



「梨央は大変な思いしてるのに…ムカつく人。」



乃々佳が隣でボソッと呟く。



「乃々佳ちゃんは相変わらず…。まあいっか。」



色々話したり、乃々佳と佐野先輩が言い合いをしたりしているうちに順番が回ってきて買い物を終える。そのまま2人で売店を出ようとした時、後ろから誰かが私の肩に手を置いた。



「わ！？あ…中條さん。」

「あ…悪い…。」



びっくりして声をあげた私に申し訳なさそうな顔をした中條さんがゆっくりと私にオレンジジュースを差し出した。



「これ…。お詫びに。」

「私に…？どうしてですか？」

「…さっき、並んでる最中も俺とのことで色々言われてただろ。こういうの渡すのも迷惑になるかもしんないけど。」



中條さんにも聞こえてたんだ。私もなんだか申し訳ない気持ちになった。


…やっぱりこの人は悪い人じゃなさそう。


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