あの子、溺愛されてるらしい。
私がそう言うと中條さんが安心したように少し笑った。



「…本当に優しいな。」

「中條さんの方が優しいです。だから私も今、あなたは悪くないってすぐに言えたのかもしれません。」



その時、彼が私の左頬にゆっくり手を伸ばした。指先が触れるか触れないかの距離で止まる。



「可愛いな。あんなに真っ赤な可愛い顔が見られるならもっと早く言えばよかった。好きだって。」



急に甘くなった空気を感じてまた顔が赤くなった。



「…可愛い。また赤くなった。」

「ど、どうしたんですか急に!」

「俺の気持ちもバレた。もう隠すつもりはない。梨央も俺を好きになって。」



止まっていた彼の手がしっかり私の頬に触れた。


胸がトクンと音を立てる。



「好きだ。」



最初座った時よりもいつの間にか彼が近くにいた。手を伸ばせばすぐに届いてしまうような距離に。


それに気がついて後ろに下がりたくなったけれど、あまりの緊張とドキドキで体が固まってしまったかのように動かなくなってしまったのだった。


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