あの子、溺愛されてるらしい。
体が離れてもなお真っ赤な私の顔を見て中條さんが可愛いと言ってまた笑った。




「梨央、一緒に帰らないか?コンビニで会ったから方向は一緒だよな?」

「…はい。」



それから私たちは一緒に帰ることになった。中條さんと一緒に教室にかばんを取りに戻ると私の席でさっき話していたクラスメートたちが待っていた。



「文月さんさっき…聞いてたよね。本当にごめん。」

「え…。」

「さっき歩いて行く2人を見てたら本当にお互いに好きで付き合ってる恋人同士なんだなってわかったの。それなのに…。」

「先輩も本当にごめんなさい。」



そう言ってみんなが頭を下げた。中條さんの顔を見上げると彼は驚いたような表情をしていた。


恐る恐る顔をあげたみんなに彼が少し笑いかけた。それを見て今度はみんなが驚いた顔をした。



「ありがとう。…それから梨央と俺は付き合ってないんだ。」

「え…そうなんですか?本当に?」



『付き合ってない』という中條さんの言葉になぜか胸がチクっとした。



「俺が梨央を好きなんだ。」

「…!」


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