あの子、溺愛されてるらしい。
驚いたと同時に少し嬉しいと思っている自分がいる。



「わあ!そうなんですか!応援します!」



みんなが嬉しそうに中條さんと話し始めた。彼は少し戸惑っているようだったけれど楽しそうにわらっている。


少しずつ自分の気持ちがわかってきている気がした。


…私は中條さんのことが気になってきているんだ。


クラスメートたちと別れて私と中條さんは校門を出た。歩きながら中條さんはニコニコ嬉しそうにしていた。



「謝ってもらえるなんて思わなかった。梨央に会ってから初めての経験ばっかりだ。」

「よかったです。中條さんが嬉しそうで。」



それを聞いた中條さんが突然立ち止まった。



「どうして梨央は俺のこと中條さんって呼ぶの?」

「え…?」

「慎太郎のことは"佐野先輩"って呼んでるよね。"さん"ってなんか遠い感じがする。」

「…そうですか?中條先輩って呼びますか?」



彼は首を傾げて違うなとつぶやいた。



「…いや…慎太郎よりも近い感じで呼んでほしい。名前とか。」

「…本当に?」

「え。どういう意味?名前で呼ぶのは嫌?」

「嫌とかではなく…本当にそう呼んだ方がいいですか?」

「俺は梨央って呼んでるよ?」


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