あの子、溺愛されてるらしい。

「ほ、本当に？中條先輩はすごく怖いんでしょ。その噂がもし本当だったら…。」



女子たちが怯えながら聞いてくる。その様子に私は戸惑うしかなかった。会ったこともない人との噂でこんなに怖がられるなんて。



「乃々佳…。信じてくれるよね？私、その人を見たことすらないの！」



乃々佳は私の目を少しの間じっと見つめてニコッと笑った。



「わかった。私は信じる。でも何であんな噂が立ったんだろう？本当に会ったことないの？」

「本当にないよ！だからすごく困る…。みんな信じて！」



クラスメートたちは頷いてはくれたけれど本当に信じてくれたのかはわからない。これでみんなとの仲がおかしくなってしまったらどうしよう。


一体どうしてこんなことになったのか…。


この噂の一件で私の平穏な高校生活は崩れていくのだった。