あの子、溺愛されてるらしい。

いつもの帰り道

初めて栄斗と一緒に帰った日から1ヶ月。あれから栄斗は毎日帰る時間になると、私の教室まで迎えに来てくれる。



「最近梨央、中條先輩と一緒に帰ってるよね。ずっと聞きたかったんだけど…何か進展あったの？」



乃々佳が少し迷った様子を見せてから小声で聞いてきた。


昼休み。今日は雨が降っていて外でお弁当を食べられないので私たちは教室にいた。誰かに聞こえそうで言うべきか少し考えた。


するとその声が聞こえたのか隣でお昼を食べていた女子3人組が私の机に近付いて来た。



「私たちも気になってたんだ。どうなの？」

「え…。」



突然のことでびっくりしている私の顔を見て3人が口々に『今までごめんね』と謝った。



「文月さんと中條先輩のこと誤解してたみたい。聞こえてくる噂ばっかり信じてた。」

「でも毎日教室に来る先輩のこと見てたらイメージとは全然違ったの。怖そうに見えない。文月さんのことが大好きって感じだった。」

「だから本当にごめんなさい。あと、最近はこっそり応援してた。2人とも本当にいい人そうだから。」