あの子、溺愛されてるらしい。
帰り道。いつものように栄斗と一緒に帰りながら今日のことを話した。それを聞いてやっぱり栄斗は嬉しそうに笑ってくれた。



「梨央を好きになってから世界が変わったような気がするんだ。」

「世界が…?」

「大げさだと思った?」

「うーん。少し?」



そう答えると栄斗はそうだよねと頷いた。



「でもそれくらい俺が梨央のこと好きだって知っててほしくて言ったんだ。それに、本当に俺の世界は変わった。」



栄斗のストレートな愛情表現が全然慣れない。聞くたびにドキドキするし、なんと返せばいいかわからない。



「…栄斗ってきっとモテますよね。だからいつもそんな風になんともない表情でそういうこと言えるんですよね。」

「モテないよ。今までずっと怖がられながら過ごしてたのに。それにそうは思わないでほしい。梨央にだけこうしてるのに。…わからない?」

「…わからないです。」



今まではこんなこと思わなかったのに、最近栄斗にキュンとするたびに誰かにもこんな風にしたことがあるんだろうななんて考えてしまっていた。


すごく綺麗な顔立ちだし、本当に優しい人だからこれまでも彼の魅力に気が付いた人が沢山いるはずだ。


自分でもわかっていた。これは嫉妬だと。



「…可愛い。」

「またそういうこと言うんですか!」

「少し俺の方を見てくれてるみたいだね。あんな質問してくれるなんて。」



そう言って私の頭に伸びてきた栄斗の大きな手にまた私はドキドキさせられるのだった。

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