あの子、溺愛されてるらしい。
次の日の放課後。


ホームルームが終わって少しして教室に佐野先輩がやって来た。



「梨央ちゃん!」

「あ…久しぶりですね佐野先輩。」

「栄斗が今日、日直の仕事あるからちょっと待っててほしいって。」

「それをわざわざ言いに来てくれたんですか?」

「うん。…あ、乃々佳ちゃんも久しぶり!」



隣にいた乃々佳に佐野先輩がぎこちなく話しかける。すると乃々佳がじっと佐野先輩を見つめた。


しばらく沈黙の時間が流れる。



「…怒ってる?そりゃそうだよね。俺が犯人なんだから。乃々佳ちゃんも本当にごめんね。」

「…いや。梨央が怒ってないのに私がなんで怒るの?」



乃々佳がそう言うと佐野先輩がやっと緊張が解けたように笑った。



「栄斗が来るまでここにいてもいい?」

「はい。」



3人で席に座ると佐野先輩が嬉しそうに話し出した。



「本当に久しぶりな感じがするね。梨央ちゃんの話は栄斗から聞いてたけど。」

「梨央の話?中條先輩って梨央のことどういう風に話すの?」



乃々佳が聞いたことに私は密かに息を飲んだ。



「それは…いや、俺はもう余計なことは言わない。だからそれは栄斗に直接聞いて。」

「そっか…まあそうだよね。」


< 33 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop