あの子、溺愛されてるらしい。
「好きだ。梨央。本当にありがとう。」

「私こそありがとうございます。…好きです。私も。」



言い終わる前にふわっと栄斗に抱きしめられた。それから腕にぎゅっと力が込められた。



「…本当に可愛い。可愛すぎる。」

「え、栄斗!ここ道端です!誰かに見られたら!」

「ごめん。今そんなこと考えられないんだ。すごく嬉しくて。それにこの道はいつも人がいない。」



栄斗が私を抱きしめたまま少し体を揺らした。喜んでくれているのが伝わってきて照れてしまう。でも勇気を出して私も彼の背中に腕を回した。


誰かに見られたらまた噂になるかもしれない。そうは思うけれど、そんなことどうでもよくなった。



「梨央。このままハグしたまま帰る?」

「すごく歩きにくいですよ。」

「じゃあお姫様抱っこしてあげようか?」

「わ!それはすごく恥ずかしいです!」

「じゃあおんぶ?」

「それもだめです。」



体を離そうとすると栄斗がぐっと腕に力を入れて私が離れられないようにする。



「そろそろ離してください…!」

「…離したくないのに。」



栄斗が少し腕の力を緩めたところでやっと彼の腕の中から抜け出した。



「じゃあ、手繋いでもいい?」



そっと私が出した手を栄斗は優しく握った。


恋人になった栄斗はさらに甘さを増すみたいだ。私はこれからこの甘さに耐えられるだろうか。


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