あの子、溺愛されてるらしい。
教室であの噂の話題が持ち上がってから1週間。


あれから私は何となくクラスメートと距離ができたように感じていた。みんな話しかけてくれたりはするけれどどこかぎこちない。


乃々佳は気にするなと言うけれど、どうしても気になってしまう。


あんな噂を誰が、どうして流したんだろう。


噂を流した人が恨めしい。私の平穏な生活を返してほしい。


それに『付き合っている』でもなく、『溺愛している』って言い方は何なんだ。変な表現だ。


そのせいで噂が色々な方向に行っていて、誰かは私と中條とかいう人が付き合っていると言うし、誰かは中條が一方的に私を追いかけていると言う。


噂は嘘だと言っても信じてくれる人はいないし、噂を流した人が誰か知らないから訂正してもらうこともできない。その人に怒ることすらできない。



「もう帰りたい…。」



毎日学校にいる時間が苦痛だ。学校中の人が私のことを話している。私はすっかり有名人だ。


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