あの子、溺愛されてるらしい。
「まあ、そういうことだよ!」



慎太郎はすぐにいつもの調子に戻った。正直に言うと慎太郎の言葉は少しありがたかった。


だからだろうか。俺は油断していて慎太郎の行動を予測することすらできなかった。


気が付いた時には俺が梨央を好きだという噂が学校中に流れていた。


あの噂を聞いた時、俺は本当に焦ったし怖かった。梨央が俺と同じ思いをすることになりそうで。


だからあの日、駐輪場の奥に慎太郎を連れて行き問いただした。



「ごめん。栄斗。こんな大事になるとは…。」

「噂を流すなんて、それでどんだけ辛い思いするかわかってる俺たちが1番やっちゃいけないことだ。」

「本当にごめん。俺の考えが足りなかった。 」

「どうすればいいんだ…。責任取れないだろ。」

「…栄斗が責任取ればいい。梨央ちゃんと付き合え。」

「お前…!」

「ごめんなさい!すみません!俺が間違ってました!」



慎太郎は本当に反省はしているようだけど、この事態を収拾する気はなさそうだ。俺のためにやったことだとはわかっているけれど、方法が悪すぎた。



「慎太郎…。どうするんだよこれ。」

「ごめん。本当にごめん。」

「何してるの。」



声が聞こえて後ろを振り返ると見覚えのある顔の女子が立っていた。


あの女子は…。


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