あの子、溺愛されてるらしい。
「…あの人たちだね。謝ってるのは座ってる方の人みたい。」

「行こう。梨央。」



私が頷くと乃々佳は堂々と歩き出した。その後に私もついて行く。



「何してるの。」



乃々佳がそう聞くと立っていた男子が振り返った。


その瞬間、彼と目が合った。


黒髪で耳にはピアス。背が高くて、圧倒されてしまいそうなくらい綺麗な顔立ちをしている。少し怖そうな雰囲気も醸し出していた。


もう1人は茶髪で制服を少し着崩している。目がぱっちりしていて明るそうなイメージの男子だった。



「あ!梨央ちゃん!!」



茶髪の人が私を見て嬉しそうに片手をあげた。でも私にはその人と会った覚えがなくて驚いた。


それに何でこの人私の名前を知ってるの?



「こいつが文月梨央?」

「ちょっと。梨央にこいつって言ったの?初対面でしょ?」

「乃々佳!大丈夫だから!」



乃々佳が黒髪の人に怒り始めたのを慌てて止める。 


怖そうな人だ。知らない人だし、もし相手が怒ったら乃々佳が危ないかもしれない。


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