完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
「だから治療も関係病院にはいけなくて、全く利権に関係のないこの病院に秘密裏に来てたんだ。知られても、親友に会いにきてるで通せる。俺と英雄は中学からの同級生だしな」
「えっ、そうだったんですか。仲良さそうには思いましたが、これまで全然私とは会ったことはないですよね」
「女性アレルギーの人間が、好き好んで友人の妹に会ってみたいと思うか?」
「確かに……」
納得した私に部長は突然頭を下げた。
「このことは絶対誰にも言わないでくれ。この通りだ」
「言うはずないですよ。……信じられませんか?」
私はそこまで野暮じゃない。
じっと部長を見つめる。すると、部長は真剣な顔で口を開いた。
「信じてる」
「信じていただけてよかったです」
「それに君の話はよく英雄から聞いていたから余計だ」
「え?」
「“人がいいから騙されないか心配”って」
思わず兄をキッと睨む。
「それは兄さんでしょうが!」
つい叫んでしまった。
部長はみるみる頬を緩め、こらえきれないというように吹き出した。