完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
その日は私をふくめ他部署から異動してきた3名の歓迎会だった。部署全員、つまり25名が参加するという。
先輩の椎名守さんとクライアントとの打ち合わせから直行して、着いたところで会場を見上げた。思わず感嘆の声を漏らす。
しっかりした門構えの奥に、格式の高そうな日本家屋。入口まで飛び石と玉砂利で通路ができている。通路の左右には花や植物が丁寧に植えられ、ほのかな光でライトアップされていた。どう見ても気軽な歓迎会ではない料亭。
驚きは入ってからも続いた。長い板の間の廊下。障子戸が閉まり、明かりが灯る和室たち。まるで――。
「まるで政治家が密談する場所みたいですね……」
思わずつぶやくと、後ろからハハ、と楽しそうな笑い声が聞こえた。
振り向くと笑顔の鳳月大河部長が立っている。
切れ長の意志の強そうな瞳。すっと通った鼻筋、薄い唇が完璧にバランスよくついていて、まるで彫刻みたいだ。
身長も180センチを超えていて、手足まで長くすらっとしている。
見た目だけでも完璧なのに、中身まで完璧な私の上司。