完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××！

　もうあと少しで唇がくっつく、というところで、部長がぴたりと止まった。

「……無事、行ったようだ」
「へ？」

　部長の視線の先、先ほどの女性がいなくなってる。

「よ、よかった、です」

　安心して腰が抜けてへなへなと座り込みそうになる。
　部長が慌てて私の腰を掴み、支えた。しかしそうなると部長が目の前になる。

「大丈夫か？」
「近いっ！　ぶ、部長こそ、大丈夫なんですか？」
「アレルギーのこと？　あぁ、やっぱり君には触れても大丈夫だ」

　部長は嬉しそうに私の手まで掴む。
　大きな手で握られるとドキドキして止まらない。

「あ、あの、そろそろ離してください！」

　握られている手を見つめて言うと、部長は「あぁ、そうだな」と呟く。

　しかし、全然手を離してくれない。

「あの……」
「困ったな、本当に離したくなくなってしまった」
「なっ⁉︎」

　ニコ、と部長が微笑む。
　分かっててもドキドキしちゃうのは、顔の良さのせいだろう。