完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
 でも問題は社長だけじゃない。部長もだ。
 つい部長を睨みつける。

「とにかく結婚なんて絶対しませんから。部長までなんでノリノリで同棲OKしちゃったんですかっ」
「断る必要を感じないからだ。俺にはメリットしかない」

 部長は厄介なお見合いもお断りできるし、私だけに女性アレルギーが出ないのだから消去法で私ならいいんだろうけど。

「芽衣だって、父に『すぐ同棲しろ』と言われた後、断らなかったじゃないか」
「あれは断らなかったんじゃなくて、断れなかったんです!」

 私の場合、威勢がいいのは最初だけ。
 社長の圧にしっかり負けた。「……はい」と蚊の鳴くような返事しかできなかった。

『別れない!』と叫んだあとに、同棲は嫌だって断る勇気もでなかったし。
 いざとなれば部長が反対してくれると思った。

 なのに部長ときたら「じゃあ明日から同棲しよう」なんて飄々と言ったのだ。
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