完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!

 そのとき、ひょい、と大河さんが給湯室に顔を出した。

「何してるんだ?」
「大河くん、高峰さんと付き合ってて、近々結婚するって本当?」

 安西さんがムスッとした顔で聞く。
 結婚⁉︎ と驚く私を見もせずに大河さんは頷いた。

「あぁ、本当だ」

「聞いてない!」
「聞いてません!」

「なんで高峰さんまで聞いてないのよ?」

 つい突っ込んだ私に、安西さんが冷静に突っ込む。
 安西さんの突っ込みはごもっともだ。

 だけど、私は結婚の話はお断りしたはず。
 だからこれはただの恋人のフリのアルバイト契約の話。私も大河さんを好きになることはない。

「私は結婚しないって言ったじゃないですか!」
「俺は芽衣と結婚したいと言っただろ」

 大河さんが言うなり、安西さんが明らかにショックそうな顔を見せその場を立ち去ってしまった。

「ちょ、待って、安西さん! 大河さんも、これじゃ誤解されたままですよ!」
「誤解ではないから別にそのままでいいだろ」

 ああ言えばこう言う!
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