完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
ちょうど給湯室の前を社員が通って、慌てて声を小さくした。社内の誰かに知られても困る。
「とにかく続きは帰ってから。これから会社ではプライベートな会話は一切禁止にしましょう」
このルールを最初に決めておけばよかった!
後悔してる私に、大河さんは「わかった」と頷く。そして彼は真面目な顔で「そうだ」と続けようとした。
「なんですか。プライベートな話題は絶対禁止ですからね」
「後で安西にも話すが、今日から串本フーズの案件を安西と二人で担当してくれ」
「へ?」
「よろしく」
微笑み、大河さんは去っていく。
串本フーズは、日本の外食産業を支える企業だ。HOUZUKIは、現在、その串本フーズ根幹の輸出入部門に深く関わっている。
そこを担当するなんて、本来なら光栄な業務のはず。
でも確か、あの金曜の夜追い払ったのって串本フーズのご令嬢じゃなかった?
それを、さっきの安西さんと組んで担当するの??
「なんでこのタイミングで! そんな人たちと!」
泣きそうになったものの、文句は言えなかった。だって、間違いなくプライベートな文句しかないわけだから。