完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
「そうだな……。特に祖父は、昔から面倒を見てもらっていたからな」
「小さなころの大河さんって想像つきませんね」
「あんまり変わらないと思うがな。ただ安西はああ見えて昔は泣き虫だった」
「へぇ」
意外で笑ってしまう。
一緒に仕事をして、安西さんの凄さを実感していた。厳しいけど、それも意味のある厳しさだった。
必要なことは聞けば何でも教えてくれたし、細やかな対応に驚くことばかり。実は面倒見もかなりいい。聞いてみたら三姉妹の長女だそうだ。
まぁ、大河さんのことについては、ちょっと冷静ではないけど。それを差し引いても尊敬できる先輩だった。
「私、安西さんと組めてよかったです。安西さんも元は営業部にいたみたいで、営業と海外事業部の違いもわかりやすく教えてくださって、すごく勉強になってます」
「そうか」
もしかして大河さんは最初からわかって組ませたのかな。
そう思って見ると、ん? と首を傾げて微笑まれた。ドキッとしてしまって視線を逸らす。
食事がひと段落したところで、大河さんが言った。
「外に出てみる?」
「はいっ。ぜひ!」