完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
船上からは遠くに光輝く街が見えた。なのに見上げれば星空だ。
「気持ちいい!」
思いっきり腕を伸ばして上を向いた。
これまで必死に働いてお金をためてきた。病院が大事だったし、それでいいと思っていた。
でも、こういう特別な時間は、なにものにも代えがたいものなんだと気づかされた。
溜まった疲れが、船上を通る涼しい風とともに一緒に流れていく。また来週も頑張れる気がする。
「恋人のフリのバイトしなければ、こんな経験一生できなかったと思います。連れてきてくださってありがとうございます」
思わず大河さんに言うと、彼は苦笑して私をまっすぐ見つめた。
「俺の気持ちを知ってて、そういうこと言う? バイトの一環で連れてきたんじゃないよ」