完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!

 私は昔から、いや、正確には中学一年生の時から恋ができない。
 好きになれそうな人はいた。実際、大河さんだって本来なら好きになっていたと思う。

 でも、どう頑張っても好きになる直前で必ずブレーキがかかる。

「ごめんなさい」
「……なら、ちゃんと試してみないか?」

 大河さんが自身の顎に手を当て、呟く。

「俺も芽衣を諦める気はないんだ。もし、これから俺を好きになれたら結婚してくれるな?」
「それは」

 好きになればいいとは言われたけど、まさか好きになったら結婚するって話になるなんて。
 妙に押しが強いのは、仕事と同じ。

 私が考えあぐねていると、大河さんは続けた。

「一生男を好きになれないって言ったくせに、自信ないんだ?」
「そんなことないです」
「違わない。芽衣は怖いんだ。俺を好きになるのが怖い」
「怖くなんてありません。今までいくら好きになろうとしても誰も好きになれなかっただけ」
「なら別に問題ないだろ」

 大河さんが大きく一歩私に近づく。
 すると二人の距離は10センチもなくなった。

 する、と頬に手を添えられる。そして、そのまま顎に手がかかった。
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