完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!

 一週間後、その妹は本当に犯人を捕まえてしまったという。

「出没したところを後ろから体当たりした。犯人は倒れ、打ち所が悪くて――」
「死んだのか」
「いや、流血して失神しただけ」
「ならいいじゃないか。そんな変態どうなっても。……俺は少しせいせいした」

 まだ中学一年。あの時の俺と同じ。ただあの時の俺と違って彼女は強い。
 英雄は溜息を吐いた。

「さすがに危ないしやりすぎ。で、警察にも怒られた。まぁ、それはよくないけど、特に問題にはならなかった」
「だろうな」
「それより、犯人が失神したところで、妹がその犯人の裸を間近で凝視してしまって吐いた。それから様子がおかしい」
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