完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!

 苦い記憶。異性に対する嫌悪感。正直に言えば、英雄の妹が果敢にその変態を捕まえた話を聞いて、あの頃の俺を救ってもらった気がした。
 だから、その妹もいつか、また誰かを好きになれる日が来ればいいと勝手に願った。


 ーーそれから何年も経ったある日。
 会社で女性の新入社員とぶつかった。普段なら薬を飲んでいても血の気が引くのに、彼女には一切そんなことはなかった。

 俺は驚いて、直感に導かれるように友人に電話していた。

 友人は『そうそう。妹、HOUZUKIに入社したんだよ。言い忘れてた。でも、大河って僕の妹の顔、知らなかったよね?』とのんびり言った。
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