完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
「あのとき、どうしてキスが嫌じゃなかったんだろう」

 キスは嫌じゃなかった。むしろ、もう一度したいと思ったくらいで。
 大河さんだから? 他の人でもそう? 答えは自分の中で出ている気がした。

 突然、ぱちりと大河さんの目が開いた。

「おかえり、芽衣」
「起きてたんですか?」
「あぁ、さっきな。でも近くに芽衣の気配がしたからキスでもしてくれるのかな、と期待してた」

 そう言って大河さんは伸びながら起き上がる。

「するわけないじゃないですか! ほんと、大河さん、隙がなくてかわいくないですよね」
「可愛げがある男が好きだった? 今度からそうしようかな」
「どんな男も好きじゃありませんから」

 言い放つと、ふふっと大河さんは笑った。
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