完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!

「ごめんなさい。私には無理です」

 下を向いて首を横に振る。
 そんなのできるはずがない。たぶんそこが私が人を好きになれない理由だ。
 恋のその先を想像できない。したくない。

 大河さんは優しい声のまま続けた。

「俺だっていつか君が許せば君を抱きたい。でも、俺は君がいいと思うまでは絶対に手は出さないと誓うから」
「信じられません。キスだって勝手にしました」
「最初は君に拒否権を持たせたはずだ」

 確かにそうだけど……あれは雰囲気とか色々あった。そのあたりも狡い。

「でもこれ以上は本当にしない。絶対に君を傷つけることだけはしないから」

 子どもが必要だと言いながら、しない、と言い切る意味がわからなかった。
 だけど本心なんだろうということだけは、言葉からも態度からも伝わってきた。
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