完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!

「とにかく私の貯金から出すから、少しでも借入額減らそう。利息率もちょっと高めだし」

 私だって生活費はほとんど削ってコツコツためてたけど、仕方ない。
 病院をなくしたくないのは私も同じ。

 昔から頼ってくれる患者さんだっている。
 みんな、ここがなくなったら遠くの病院に行かなきゃならない。高齢の患者さんには特にきつい。

 しかもこの病院は両親の形見でもあるから余計だ。

「とりあえず……私、150万出すね」

 我ながら2年ぽっちでよく150万も貯めたものだ。
 でも、それは前にいた営業部が残業が多かったからに他ならない。
 異動したての海外事業部は部長の手腕のおかげで、思っていた以上に残業が少なかった。これまでと同じペースで貯めるのは無理そうだ。

「ありがとう、芽衣」

 兄は素直に頭を下げた。そう、兄だって結局患者さんのためにしていることだよね。

 分かってる。兄は父や祖父に似てる。面影も、性格さえ。

 優しすぎるところも、全部患者さんのためで。損得勘定で動かないところも全部そうだ。

 ――でも、本当にこれからどうしよう。
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