キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
でも、大丈夫。
せっかくドクターたちが計画してくれているし、もうあの看護師は外科病棟にはいない。

あの時のこと。私は黙っていたけれど、ほかでも同じようなことをしたらしく違う病棟に異動させられたと聞いた。

その後はその病棟での勤務体制が気に入らないとかで、最終的には辞めちゃったんだとか。
行く先は知らないけれど、私にとってはそれでいい。


「ただいま。いやぁ、参った。話長い患者さんに捕まってたよ」

「ふふっ、お帰りなさい。その患者さんって、三國(みくに)さんでしょう? 外来でもずっと話してますもんね」

「そうそう! そうなのよ。もう、ご主人の愚痴ばっかり」


そう言いながら、処置室の後片付け兼明日の準備を進めていく森脇さん。

森脇さんの言っている患者さんは、話が長いことで有名。
1年ほど前から抗がん剤治療で通院している患者さんなのだけれど、いかに捕まらずに済むかを考えながら行動している。


「やれやれだわ。矢田ちゃん、時間になったら帰ってね。私、まだやり残してることあるし」

「はい。ありがとうございます」


いくつかの点滴バッグを抱えながら、再び外来を出て行ってしまった森脇さん。

この様子だと、仕事を残して三國さんから逃げて来たのかな。
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