キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
紺色のベロア素材の小さな箱から見えたのは、ネックレス。
匠真はそれを丁寧に取り出すと、私の首にネックレスを付けてくれた。

トップ部分に小さなハートの石が付いているネックレスは、私の胸元でキラキラと輝く。

きっとこの石は、ダイヤモンドだ。


「これって……?」

「さっき、取りに行ったのはこれだよ」

「あ……! ここに来る前に寄ったところ?」


そういえば、寄り道してた。
このネックレスを受け取りるために、あのショップ街へ行ったんだ。

だから私の質問に、言葉を濁していたんだ。

サプライズで渡すために……。


「好きだよ、葵。一生守る」

「匠真っ……」

「ったく……大貫先生に奪われるんじゃないかと思って焦った」

「え?」


それってまさか、旅行前の出来事のこと?

……そっか。匠真も、不安になっていたんだ。
なんか、嬉しい。

でも、あんなことで私の気持ちは揺らがない。
だって、匠真がこんなにも愛してくれているんだもの。


「匠真、大好き」


そう言いながら、そっと匠真にキスをした。

徐々に深くなっていくキス――。
この身体の火照りが、お風呂に入っているからなのか。それともまた別なのか。

もう、そんなことを考える思考すらなかった。
< 144 / 189 >

この作品をシェア

pagetop