キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

再発、転移

幸せな旅行から1ヶ月と少し。
何事もなく月日は流れ、9月に入ると朝と夕方は少し肌寒くなった。

変わったことと言えば、森脇さんが8月31日で産休に入ったことくらい。

匠真との関係も変化はないけれど、なかなかゆっくり会う時間が取れずにいるのが現状。本当はもっと会いたいけれど、匠真の仕事が忙しく、なかなかそう簡単にはいかないよう。

会えなくても治療には専念していて、今のところ異常はなさそうだった。


「お母さん、おはよう」

「おはよう葵。気分はどう?」

「うん、大丈夫。でも、なんか朝起きたときに左の股関節が痛かったかも」

「えぇ? 大丈夫なの?」


キッチンで朝食の支度をしていた母は、心配そうに私の顔を見る。


「大丈夫。一時的なものだと思うし、なんともないよ」


そう言いながら、支度をするために洗面所へと向かった私。

本当は、少し前から左股関節が痛い。
でも、痛みに波があって、痛みが強い日もあればまったく痛みを感じない日もある。

誰にでもある股関節痛だろうし、しばらく様子を見てみることにした。
痛みが持続するようなら、受診も考える予定だ。

メイクを済ませ髪の毛をセットしてからリビングに戻ると、母がテーブルに朝食を準備してくれていた。
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