キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
『絶対に大丈夫』なんて自信は、ない。
「葵。お母さんは、あなたのことが心配で……」
「わかってるよ。ちゃんと検査するって」
しつこく検査の催促をする母の言葉を遮って、私は荷物を取りに2階へと駆け上げった。
母が心配する気持ちは、充分にわかっている。
でも、私の気持ちは?
病気だということをと告げられ、目の前が真っ暗になる感覚。
その気持ちは、他人には絶対にわからない。
例えそれが家族であっても、治療をするのは私なのだから。
「じゃあ、仕事行ってきます」
リビングにいる母の顔も見ずに、私は靴を履いて家を出た。
……やっぱりダメ。
病気のことを考えると、どうしても気持ちが前を向かない。
心配する母の気持ちですら、素直に受け取れなくなる。
「心配してくれてありがとう」って、言えたらどれだけいいだろう。
でも、なかなかそう簡単にはいかない。
風邪やケガといった、飲み薬を処方して終わりではないのだから……。
「……あれ?」
気か付けば、涙が頬を伝っていて。
涙を拭いながら、職場である病院までの道のりを歩き続けた。
* * *
「えっ? 今日、受診したいの?」
「はい……少し心配で」
そう言った私の申し出を、快く聞き入れてくれたのは看護師の香川さん。
「葵。お母さんは、あなたのことが心配で……」
「わかってるよ。ちゃんと検査するって」
しつこく検査の催促をする母の言葉を遮って、私は荷物を取りに2階へと駆け上げった。
母が心配する気持ちは、充分にわかっている。
でも、私の気持ちは?
病気だということをと告げられ、目の前が真っ暗になる感覚。
その気持ちは、他人には絶対にわからない。
例えそれが家族であっても、治療をするのは私なのだから。
「じゃあ、仕事行ってきます」
リビングにいる母の顔も見ずに、私は靴を履いて家を出た。
……やっぱりダメ。
病気のことを考えると、どうしても気持ちが前を向かない。
心配する母の気持ちですら、素直に受け取れなくなる。
「心配してくれてありがとう」って、言えたらどれだけいいだろう。
でも、なかなかそう簡単にはいかない。
風邪やケガといった、飲み薬を処方して終わりではないのだから……。
「……あれ?」
気か付けば、涙が頬を伝っていて。
涙を拭いながら、職場である病院までの道のりを歩き続けた。
* * *
「えっ? 今日、受診したいの?」
「はい……少し心配で」
そう言った私の申し出を、快く聞き入れてくれたのは看護師の香川さん。