キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
『元気ならどっちでもいい』と幸せそうに言っていた彼女がとても印象的だったのを、今でもよく覚えている。


「ふふっ。どっちだと思う?」

「えぇ……どっちだろう」


これは、よくある質問形式だよね。

森脇さんのお腹をジーっと見つめてみる。
確か、男の子だとお腹が前に出るんだっけ?

ぱっと見た感じでは、そんなにお腹が出でいるような感じではない。
そうなると、女の子かな?


「触ってみてもいいよ」

「え、本当ですか?」


「ほら」と、森脇さんは私の手を掴んで自分のお腹に当てた。

これでわかるのかな? と思っていたそのとき。


「あっ! 動いた!!」

「動いたね。矢田ちゃんが触ったの、わかったのかな」

「どうでしょう。でもすごい。ちゃんと生きてる」


「あはは、そりゃそうだよ」と、森脇さんは大きな声で笑った。

そうだよね。ちゃんと、生きてるんだ。
まだこの世に産まれてきていないけれど、お腹の中でしっかり生きようとしているんだ。

なんて神秘的なんだろう。


「それで、どっちかわかった?」

「うーん。女の子……ですかね?」

「おぉ……残念! 男の子だよ。この前の検診で〝男の子のシンボル〟が見えてね」


なるほど。それはもう男の子で間違いないだろう。

嬉しそうにしている森脇さんを見て「いいなぁ」と、思わず呟いてしまった。
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