キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
葵の笑顔に俺の緊張も少しほぐれ、ワクワクした気持ちが湧いてくる。


「外は寒いから、暖かい恰好して行こう」

「うん、嬉しい。匠真、ありがとう」


本当に嬉しそうに笑う葵のことを抱きしめて、おでこにキスを落とした。

それからすぐに支度を進め、いよいよ出発。

車椅子で病室を出ると、ナースステーションの前では数人のナースたちが待っていた。
事情を知っての、お見送りだ。


「矢田さん、楽しんで来てね」

「大貫さん、ありがとうございます」


ナースたちに見送られエレベーターに乗ると、1階まで降りる。

職員通用口から車椅子は出られないため、正面玄関から駐車場に向かった。


「匠真の車に乗るの、久しぶりだね」

「本当だな。最後に乗ったの、4ヶ月くらい前か」

「そっか。もう乗れないかと思ってた」


助手席に葵を乗せて、車椅子を後部座席に乗せる。

運転席乗り込みシートベルトを締めると、エンジンをかけて車を発進させた。
病院から結婚式場までは、15分程度。


「行き先、決まってるの?」

「あぁ。でも、まだ言わない」

「えぇ? どこだろう。楽しみ」


ウキウキした様子の葵。
ここでバレるわけにはいかないと、結婚式場までのルートもナビには入力しない。

打ち合わせのために何度か病院から通ったこともあり、大丈夫なはずだ。
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