キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

【おまけ】変わらない想い、溢れる想い

葵がいなくなってから、5年が過ぎた12月――。

冬なのに、なぜかいつもこの時期は晴れる。


やっと、今の生活にも慣れてきた。
葵と過ごしたのは36年生きてきた中でほんのわずかだったけれど、俺にとってはかけがえのない日々だった。

俺が心から愛した彼女は、今でもずっと俺の心の中にいる。
それはずっと、変わることはないだろう。


「せんせー、おはよう」


時刻は9時を少し過ぎたところ。

ナースステーションで仕事をしていると、俺のことを呼びながらこちらへ近づいてくる小さな姿が見えた。
手を止めて、そちらへ視線を向ける。


「五十嵐先生、おはようございます」

「あぁ……もうそんな時間なのか」


現れたのは、看護師の森脇。と、その子ども。

羽玖(はく)〟と名乗る男の子は、葵がいなくなる少し前に産まれた子だ。
5歳になり、俺のこともしっかりと理解しているよう。


「先生、休みなのにわざわざ仕事してなくても」

「いや、少し気になったことがあったから確認しに来ただけだ。すぐ行く」


電子カルテに必要事項をササっと入力し、席を立った。


今日は、葵の命日。
森脇たちと時間を調整し、葵の自宅へ行く予定なのだ。
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