キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
違和感と、五十嵐先生の診察
五十嵐先生の歓迎会が行われた翌週。
早いもので、先週見頃を迎えた桜の木も、ちらほらと花びらが風に吹かれて宙を舞っている。
まだ、外来が始まる前のこと。
私は外科病棟がある5階病棟にいた。
ナースステーションの横にある窓の外を眺めつつ、とある人物を探している。
それはもちろん、五十嵐先生だ。
先週の金曜日。歓迎会にトラウマがある私のことを気遣って、早めに帰宅させてくれた彼。
お礼も伝えられないまま休日を迎えてしまい、朝1番でお礼を伝えようと出待ちしているのだ。
こんな時間に医師事務である私が病棟をうろつくことは珍しいため、ナースステーションの受付にいるクラークさんから不振がられた。
「もう……早く来てよね」
と、自分から出待ちをしているクセに不満を漏らす。
外来にも姿がなく、朝の回診中であるとクラークさんに聞いて、ナースステーションの横で待ちぼうけをしているのだが、ここへ来てもう10分が経つ。
これ以上は、さすがに外来にも迷惑がかかる。
諦めて、エレベーターへと向かおうとしたとき。
「あれ、矢田じゃないか」
背後から、探していた人物ーー五十嵐先生の低い声が聞こえた。
振り向くと、紺色のスクラブ姿、首に聴診器を掛けた五十嵐先生が、私の方へと歩いて来る。
早いもので、先週見頃を迎えた桜の木も、ちらほらと花びらが風に吹かれて宙を舞っている。
まだ、外来が始まる前のこと。
私は外科病棟がある5階病棟にいた。
ナースステーションの横にある窓の外を眺めつつ、とある人物を探している。
それはもちろん、五十嵐先生だ。
先週の金曜日。歓迎会にトラウマがある私のことを気遣って、早めに帰宅させてくれた彼。
お礼も伝えられないまま休日を迎えてしまい、朝1番でお礼を伝えようと出待ちしているのだ。
こんな時間に医師事務である私が病棟をうろつくことは珍しいため、ナースステーションの受付にいるクラークさんから不振がられた。
「もう……早く来てよね」
と、自分から出待ちをしているクセに不満を漏らす。
外来にも姿がなく、朝の回診中であるとクラークさんに聞いて、ナースステーションの横で待ちぼうけをしているのだが、ここへ来てもう10分が経つ。
これ以上は、さすがに外来にも迷惑がかかる。
諦めて、エレベーターへと向かおうとしたとき。
「あれ、矢田じゃないか」
背後から、探していた人物ーー五十嵐先生の低い声が聞こえた。
振り向くと、紺色のスクラブ姿、首に聴診器を掛けた五十嵐先生が、私の方へと歩いて来る。