キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

入院生活と、告白

いつもナースステーションの横から眺めていた桜の木には、小さな青葉が見え始めている。
今日もその大きな桜の木を眺めては「ふぅ」とため息を漏らす。


入院して、あっという間に1週間が過ぎた。
私の病室には、毎日必ず誰かが面会に来てくれる。

広い部屋で寂しい毎日を送ることになるかと不安だったけれど、心配はいらなかったようだ。


「葵。まぁ……きれいに髪、なくなったんだね」

「うん。頑張ってる証拠だし、いいの」


母からもらったピンク色のニット帽を外して、テレビ台の上に置く。

今日来てくれているのは、高校時代から仲良くしている友人、美花(みか)だった。

美花とは、高校のときに仲良くなった。
彼女は高校卒業後専門学校へ進学し、現在は言語聴覚士として別の病院で勤務している。

先月結婚したばかりの、新婚さんだ。

美花は私の頭部をみて驚いている様子だけれど、頑張っていることには間違いない。
恥ずかしがることなんて、ないんだ。

それに化学療法を始めるときには、ある程度の覚悟はできていたから。


「……そっか。そういえば、頼まれた物、持ってきたよ」

「わぁ! ありがとう」


美花はベッドの上に数冊のアルバムを置いた。

ずっと『見せて欲しい』と、彼女にお願いしていた物。
美花の、結婚式の写真だ。
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