キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
でも、どうして彼が謝るの?
謝らなければいけないのは、八つ当たりした私の方なのに。
「辛いよな。本当は、化粧とかもしたいだろうに」
まるで、心を読まれたのかと思うくらいだ。
私の心の内を口にした五十嵐先生は、それ以上はなにも言わずにただひたすら抱きしめてくれている。
なんで? どうしてこんなことするの?
ただの同情なら、いらない。
「あ、あの……」
「矢田、辛いなら正直に言えばいい。これ以上〝頑張れ〟なんて、言わないから」
五十嵐先生の言葉に、次から次へと涙がこぼれる。
そうか。私、辛かったんだ。
美花の結婚式の写真や普通に生活している人たちのことを〝羨ましい〟って思っていたんだ。
でも、どうせ叶うはずないって。
諦めて、自分の気持ちに蓋をして。なにも悪くない五十嵐先生に八つ当たりして。
初めから言えばよかったんだ。
〝辛いよ〟って。
「……ごめんなさい」
「いや、いいんだ。でも、なんで矢田がそんなに強がるのかが不思議で」
「だって……弱気になっちゃいけないって」
抗がん剤の治療を頑張る患者さんの姿を、今までたくさん見てきた。
どの患者さんも治療に前向きで、弱音なんて一切見せていないように感じた。
だから……。
私も頑張らないとって、勝手に思ってた。
謝らなければいけないのは、八つ当たりした私の方なのに。
「辛いよな。本当は、化粧とかもしたいだろうに」
まるで、心を読まれたのかと思うくらいだ。
私の心の内を口にした五十嵐先生は、それ以上はなにも言わずにただひたすら抱きしめてくれている。
なんで? どうしてこんなことするの?
ただの同情なら、いらない。
「あ、あの……」
「矢田、辛いなら正直に言えばいい。これ以上〝頑張れ〟なんて、言わないから」
五十嵐先生の言葉に、次から次へと涙がこぼれる。
そうか。私、辛かったんだ。
美花の結婚式の写真や普通に生活している人たちのことを〝羨ましい〟って思っていたんだ。
でも、どうせ叶うはずないって。
諦めて、自分の気持ちに蓋をして。なにも悪くない五十嵐先生に八つ当たりして。
初めから言えばよかったんだ。
〝辛いよ〟って。
「……ごめんなさい」
「いや、いいんだ。でも、なんで矢田がそんなに強がるのかが不思議で」
「だって……弱気になっちゃいけないって」
抗がん剤の治療を頑張る患者さんの姿を、今までたくさん見てきた。
どの患者さんも治療に前向きで、弱音なんて一切見せていないように感じた。
だから……。
私も頑張らないとって、勝手に思ってた。