キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
五十嵐先生がこの大音総合病院に赴任してきてまだ3週間とちょっと。

その短い期間で私のことをどんな人間なのかということを見てくれていて、私の頑張りも認めてくれた。
職業柄なのかもしれないけれど、仕事のことを褒めてもらえたのは嬉しい。


「でもなぁ……」


告白されたといって、舞い上がってはいけない。

私の治療は、まだ続くと思う。
その度に彼を巻き込むのは、私が辛くなりそうだ。

それなら違う女性と付き合って欲しいと思うし、五十嵐先生が幸せになれる選択をして欲しいと思うのだけれど……。

真っ白な天井を見ながらそんなことを考えていると、「コンコン」と再びノックの音が聞こえた。


「葵、着替え持って来たわよ」

「お母さん。ごめんね、ありがとう」


テレビ台の下に隠してある着替えを、ごそごそと交換してくれる母。
この年になってもまだ、母のお世話になるとは思ってなかったな。

そんな母の背中を見て、少し気になったことを聞いてみる。


「ねぇお母さん。お父さんの、どこが好きで結婚したの?」

「えぇ!? どうしたの急に。なにかあった?」

「なんにも。気になっただけ」


現在50歳の母と、52歳の父。
結婚して私を産んで、きっと色々なことがあったに決まっている。

こんな質問は今までにしたことないけれど、少し気になったのだ。
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