キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
「そうねぇ……」と、少し恥ずかしそうに天井を見上げる母。


「お父さんとの出会いは、高校の部活よ」

「えっ、高校!?」


驚いて、思わずベッドから身を乗り出した。

長い付き合いだとは思っていたけれど、まさか高校時代からの付き合いだったとは。


「そうよ。お母さん、別にそんなにお父さんのこと好きじゃなかったんだけど、お父さんの猛アプローチに負けちゃった」

「えぇ、知らなかった……」

「ふふっ。1度は別れて違う人と付き合ったりしたこともあったけどね、やっぱりお父さんがよかったのよ」

「復縁したの?」


私の質問に「そうね」と、照れくさそうに言う母はきっと、当時のことを鮮明に思い出しているに違いない。

初めて聞く両親の過去に、私はただ驚くことしかできない。
でも、やっぱり色々なことを乗り越えて来たんだろうな。


「プロポーズは、どんな感じだった?」

「普通な感じよ。付き合った記念日に、海の見えるレストランで『結婚しようか』って、婚約指輪を渡されたの」


その婚約指輪は、小学生の頃に1度見せてもらったことがある。
1粒ダイヤのキラキラ輝く婚約指輪で、ジュエリーボックスに大切に保管してあった。

きっと、色々な思い出が詰まっている婚約指輪なんだろう。
「これは大切だから、イベントのときにしか付けないのよ」と、母が言っていたのを覚えている。
< 47 / 189 >

この作品をシェア

pagetop